制度を知っているだけでは足りない。社員に合った制度を案内できる事務になる

就職してからのこと

この記事は、「AIが発達しても、事務職だからこそできる仕事・これから身につけたいスキル」を考える全4回シリーズの第3回です。

会社には、育児・介護をはじめ、社員が利用できるさまざまな制度があります。しかし、一度説明を受けただけで、すべての制度を覚えている社員ばかりとは限りません。この記事では、制度を「知っているだけ」で終わらせず、社員に合った形で案内できる事務担当者になるための考え方をご紹介します。AIと事務職の関係については、別記事「AIで事務職はなくなる?これからの事務職に必要なスキル」でも触れていますので、あわせてご覧ください。

制度は「説明した」だけでは伝わらないことがある

会社には育児・介護などに関する休暇制度をはじめ、さまざまな制度があります。しかし、現場の社員は、一度説明を受けてもすべてを覚えているわけではありません。入社時や制度改定時にまとめて説明を受けても、実際に自分がその制度を必要とする場面になるまで、内容を意識しない方も少なくないのではないかと感じています。

知らないまま有給休暇を使ってしまうケースもある

特に子育て中の社員などは、子どもの体調不良や学校・園などの事情で急に休むこともあります。そうしたとき、利用できる制度を知らないまま年次有給休暇を使ってしまい、結果として自分のために使える有給休暇が少なくなってしまうようなケースもあり得ると感じています。これは特定の誰かの話というより、制度が「知っているだけ」の状態にとどまっていると起こり得る、一般的な課題だと考えています。

プライバシーに踏み込みすぎずに気づく・案内するには

だからといって、社員のプライベートな事情を必要以上に聞き出すことは適切ではありません。日常の会話や相談の中で必要性に気づいた場合に、「こういう制度もありますよ」「このケースなら、この制度が利用できる可能性がありますよ」と適切に案内できる事務担当者であることが大切だと感じています。聞き出すのではなく、気づいたときに橋渡しをする、という姿勢を意識しています。

知っておきたい育児・介護に関する制度の基本

制度を案内するうえでは、法律で定められている制度と、会社が独自に整備している制度を区別して理解しておくことが欠かせません。

法律で定められている制度(育児・介護休業法)

育児・介護休業法では、育児休業・介護休業のほか、子の看護等休暇・介護休暇など、仕事と育児・介護の両立を図るための制度が定められています。2025年4月・10月に段階的に施行された改正により、これまで「子の看護休暇」と呼ばれていた制度は「子の看護等休暇」へ名称が変更され、対象となる子の年齢が「小学校就学前」から「小学校3年生修了まで」に拡大されました。また、取得できる事由にも、子の予防接種・健康診断、感染症に伴う学級閉鎖等、入園式・卒園式への参加が新たに加わっています(出典: 育児・介護休業法について|厚生労働省)。このように、法律に基づく制度は全国一律の最低基準として定められており、会社の規模や業種にかかわらず適用されます。

会社ごとに異なる制度・運用

一方で、法律で定められた基準を上回る休暇日数や、会社独自の相談窓口、休暇の取得手続きの細かい運用は、会社ごとに異なります。この記事で紹介した内容は、法律に基づく一般的な情報であり、実際に利用できる制度の詳細は、必ず勤務先の就業規則や人事・総務の担当窓口にご確認ください。

社員に合った制度を案内できる事務になるために

制度を正しく理解しておくことは前提としつつ、それを「知っているだけ」で終わらせず、必要としていそうな社員に気づき、負担をかけない形で案内できることが、事務職としての価値につながると感じています。これは、決まった案内文を送るだけでは対応しきれない、人だからこそできる仕事の一つです。

まとめ

制度は、整備されているだけでは社員に届きません。法律に基づく正確な情報を理解したうえで、日々の会話の中で気づき、プライバシーに踏み込みすぎない形で社員に合った制度を案内できることが、これからの事務職に求められるスキルの一つだと考えています。「気が利く事務」に共通するこうした視点は、別記事「気が利く事務ってどんな人?AI時代に身につけたい「人を見る力」」でさらに詳しく整理しています。

▶ 次の記事を読む:気が利く事務ってどんな人?AI時代に身につけたい「人を見る力」

このシリーズの記事一覧(全4回)

1. AIで事務職はなくなる?これからの事務職に必要なスキル

2. 健康診断・ストレスチェックは案内して終わりじゃない。事務職に必要なフォロー力

3. 制度を知っているだけでは足りない。社員に合った制度を案内できる事務になる

4. 気が利く事務ってどんな人?AI時代に身につけたい「人を見る力」

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